あいうえお作文続き [小話]
始めて会った日のことを、憶えていますか。
一人佇んでいた私にあなたは これからは
「二人っきりだな」と苦笑した。
変な人だ、と思った。
本当に、変な人だと———私もまた、どうしようもなく苦笑した日のことを。
魔が差した、と君は言うかもしれない。
見たまえよ、このあられもない欲の情を。
夢魔に犯されたなどという言い訳は通用しない。
目と目を合わせて呟けば、
もうそこでは視線はおろか、唇までもが重なっていく。
やめてくれと叫ぶのも、
許してくれと泣くのも、
よがっているようにしか、もう見えないのだ。
爛々と輝く瞳は化学物質の白をくわえて
立体感を失った感情をただひたすら
涙液に代えて垂れ流す。
レントゲンですら見えないものを
肋骨の中心に見出そうということ自体が、愚かしい。
渡し賃は命半分でよろしいか
「をかしな客だ」と船頭が嗤う瞬間。
ん、と口を塞がれて———息を手渡し僕は死ぬ。
一人佇んでいた私にあなたは これからは
「二人っきりだな」と苦笑した。
変な人だ、と思った。
本当に、変な人だと———私もまた、どうしようもなく苦笑した日のことを。
魔が差した、と君は言うかもしれない。
見たまえよ、このあられもない欲の情を。
夢魔に犯されたなどという言い訳は通用しない。
目と目を合わせて呟けば、
もうそこでは視線はおろか、唇までもが重なっていく。
やめてくれと叫ぶのも、
許してくれと泣くのも、
よがっているようにしか、もう見えないのだ。
爛々と輝く瞳は化学物質の白をくわえて
立体感を失った感情をただひたすら
涙液に代えて垂れ流す。
レントゲンですら見えないものを
肋骨の中心に見出そうということ自体が、愚かしい。
渡し賃は命半分でよろしいか
「をかしな客だ」と船頭が嗤う瞬間。
ん、と口を塞がれて———息を手渡し僕は死ぬ。
2011-09-26 02:43
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